産物商襲撃 第八話 帰還

策師
天王山平地地帯、雑賀衆との合戦にてそれを目の当たりにした
敵右先を攻めよと伝令、多数の伏兵に阻まれた。
まるで待ち構えていたように。
「間者がいる」
疑心暗欺になり兵の指揮が落ちた
半刻後敵右先に進軍と子荻の伝令
兵達は疲弊し、この攻撃が失敗すれば負けが濃くなる戦だった
半刻後、突如子荻は目標を敵中先に変更
間者によって伝えられた右先攻撃の情報により敵の防衛はそちらに集中していた
先駆けの部隊が勢い良く敵兵を蹴散らし
子荻の部隊は要害を奪取した
敵兵を捕虜に取り間者を割り出す、ここで間者を殺さずに嘘の情報を敵に与え続ける
中先を拠点に部隊を展開
一夜にして形勢は逆転していた

あこがれた



蔵から脱出し屋敷を目指す
そこにきっと子荻はいる・・・・


屋敷・・・門は開いていた、月が雲に隠れたのを見計らい息を潜め足音を立てずに侵入する
虎と熊の毛皮が出迎える、子荻の姿はない
かまどに火がはいっていた、そこに後手に縛られ猿轡をはめられた左京が火攻めにされていた、
猿轡を外す、
「・・・ぁ・・・ぅ」何か言いたそうだが脱水症状をおこし言葉にならない
「待ってろ!今、水を!」
奥の水攻めの間へ向かった、そこには梁から逆さ吊りにされた波平と麦がいた。
床に置かれた樽に入った水に首まで浸かっている、ぼこぼこと気泡が浮かび、腹筋を駆使し麦と波平が頭をもちあげた
「ハァ・・ハァ」と二、三呼吸をして苦悶の表情を浮かべ二人はまた水に頭を埋めた
武器の間から刀を持ち出して二人を吊るす縄を切った、樽に落下する二人
呼吸を整えるのに精一杯で言葉を発せられないが、麦と波平はがっちりと手を握り合い互いの健闘を称え合っていた
とりあえず麦が敵でないことを察知する、樽を運び左京のもとへ向かった
衰弱がひどく自力で水をのむことができない、左京を抱きかかえ口写しで水を飲ませる。
両腕に熱を持った大男の筋肉を感じる、汗でぬめった左京の肌が心地よかった。

「子荻か?」尋ねると左京は頷いた
「お前に、、、ま、だ、話して、、い、ない、こと、が」苦しそうに左京が話す
「話は後だ。」左京を抱え上げ波平と麦のいる水責めの間へ連れて行った
「トシコは?」左京の体に水をかけ波平に尋ねる、
「隣に捕まってる」呼吸を整え波平が言った。
刀を取り立ち上がると麦も立ち上がった
「拙者も参ろう」麦が言った、壁から刀を二本取り麦に渡した
隣の部屋、仮面の間には全裸のトシコ、風呂、黒が壁掛け鎌に繋がれ拘束されていた
三人共に式神が憑依し力を奪われている
麦の刀一振りで式神三体は式符にもどった
首輪と腕輪を外す、体力気力を式神に奪われた三人がぐったりと床に倒れる
「はぐみ・・・か」式符を拾い上げ、式符を握り潰し麦が呟いた。
飽食の間に戻り、みかんを取りトシコに与えようとする、
「待て!」と波平の声、「急々如律令・・・・」
霊視されたそれには毒が仕込まれていた、桜餅、粥、すべて例外なく・・・
「ファック!」呪詛がこぼれた


<つづく>