産物商襲撃 第六話シオギ、ハグミ

「バカな男達・・・」
積み上げた箱に登りはぐみは「火の用心」の札をはがした
札の下から現れた「差押」の赤札 それをはがし破く
右京十丁目 屋敷やんちゃな子猫、子猫が二人
実は、数日前に屋敷は差押られていた
屋敷内のいたるところにある豪華な装飾、三尊像、招き猫
箱から降りたはぐみを子荻が抱く
霞縫箔をするりと脱がす
「今ごろ、何も知らないうちの黒い連中が全部とりかえしてるはず、、、あ」
子荻の舌がはぐみの先端を刺激して声が漏れる
はぐみは子荻の真砂砂鉄の警護を黒い三人衆に依頼していた、当然そこに秘められた自分と子荻の陰謀は知らせずに。
借金は子荻の取引したヒスイですでに解消されていた
はぐみが子荻の羽織を脱がす
「別に、借金返してくれたからって嬉しくなんか、、」
はぐみは子荻を抱き耳元で熱い息と共に囁く
「でも、ありがとう」
二人は隣の部屋へ消えていった



「逃げろ」鍛冶屋は判断した
鍛冶屋は蔵からの脱出を試みる、波平に伝えようとするが大声は出せない
月明かりの射し込む格子から脱出しようと産物を積み上げ壁を登り梁を伝い格子に辿り付く
声が聞こえた、罵声が飛び交う、武器がぶつかりあう金属音、眩い閃光
「遅かったか、、」
格子を破壊して脱出を図ったその時、轟音と共に産物商が倒壊した
鬼の召喚、産物商の倒壊によって生じた地響きで足場を奪われ鍛冶屋は蔵の中へ落下
意識が遠のいた・・・



「ずいぶん派手にやってるようね」
産物商の方角から聞こえる轟音、両替商の方向からも警護の向かう音が聞こえた
子荻は、はぐみの髪を撫でながら言い、考えた
当初の予定-----派手な戦闘は真砂が蔵に納められた所で、黒い三人衆により蔵に潜む波平達を捕獲する時のみのはず
そして、その時点で宝石に目がない鍛冶屋はヒスイを手に入れているであろう事
その為に月明かりに照らされる目立つ位置に保管させた事
波平の帰還の術を封じる為に蔵には前もって札による結界を張り巡らせてある事
襲撃の計画をはぐみの所へもってきたのは鍛冶屋
襲撃させようと目論んだのは子荻

当初の鍛冶屋の計画------嘘
鍛冶屋の本当の計画------あわただしい警護----おそらく失敗している

それぞれの思惑が離れた場所で戦っていた



<つづく>